顧客保護

 顧客保護とはよく金融庁が使うことばで「平成24事務年度保険会社等向け監督方針」の中でも4番目に 「顧客保護と利用者利便の向上」という項目があります。
簡単にいうと保険の専門家ではない顧客(保険契約者)が保険のしくみを知らないことにより不利益が生じないように顧客の権利を保護することです。

 金融庁が示す顧客保護の範囲は広く、大規模災害に対応する保険金支払体制やシステムの不備で顧客に迷惑を掛けないようにすることなども含まれます。
顧客保護に違反する典型的な例は顧客に必要のない保険をつけさせたり、もっとよい商品があることを教えなかったりすることです。
顧客が請求してこなかったら保険金を支払わないというのも顧客保護に反するもので、 事故があって主契約は払っても特約の保険金を払い忘れたという場合でも保険金不払い問題として責任を追求されます。

 保険の営業を行うものにとっては少しでも多くの保険を売りたいため、顧客保護はしばしば自分の利益と相反します。
よく保険外務員や代理店の中には契約者に必要ない保険や自分の手数料が高くなる保険を奨めておいて、 「契約者が自分で選んだのだから契約者の判断を尊重するべき」などという人もいますが、 これは「何も売らないで帰るのはお客様に失礼である」と思い込んでいる悪質な訪問販売員 (巷では押し売りともいう)と同レベルである。
このような行為を禁止する教育を保険会社は社員や代理店に徹底するべきで、 それをやっていない会社はそもそも顧客保護の意味を管理職や経営陣が理解していないわけですから、 いずれ不祥事で処分されることになるでしょう。

よく「保険はほしい人には売らず、いらないという人に売れ」といわれますが、これはアンダーライティングをせよということであって、 押し売りをしてこいといっているわけではありません。
危険の全くない人には保険は必要ないのですが、自分から保険を買いにくるほど大きなリスクを持っている人には保険を (リスクの小さい人と同じ保険料で)売るなといっているのです。
アンダーライティングとは保険料に見合うリスクを引き受けろということですから、 それなりの保険料で売るならリスクのある人に売ってもかまわないのです。
リスクの高い人には保険を売らず、事故の可能性のない人に保険を売ってボロ儲けをせよといっているわけではありません。